【決算詳報】主力『ぼくとドラゴン』依存からの脱却を進め、他事業が堅調に推移 新作『メガスマッシュ』は2018年春リリース予定

Share on Facebook4Tweet about this on TwitterShare on Google+0

【決算概要】

 株式会社イグニスは2月13日に2018年9月期第1四半期の決算を発表した。第1四半期の累計連結業績(2017年10月1日~12月31日)は、売上高12億8970万円(前年同期比9.0%減少)、営業損益2億4755万円の赤字(前年同期は1億4862万円の黒字)、経常損益2億5045万円の赤字(前年同期は1億3611万円の黒字)、四半期純損益2億3329万円の赤字(前年同期は6739万円の黒字)となった。

(出典)2018年9月期 第1四半期 決算説明会資料 p5

(出典)2018年9月期 第1四半期 決算説明会資料 p7

 本稿では、イグニス 取締役CFO山本彰彦氏に事業状況や今後の取り組みについても伺ってきた。

 

【事業状況】

 イグニスの事業は、「運命より、確実。」をキャッチコピーとしたオンライン恋愛・婚活サービス「with」等のコミュニティ、1日3回のド迫力リアルタイム協力バトルが楽しめるスマホRPG『ぼくとドラゴン』等のネイティブゲーム、ビジネスパーソン向けメディア『U-NOTE』等のメディア(その他)という3ジャンルを既存事業と位置付けて展開している。さらに、新規ジャンルへのチャレンジとして、VRやAI、IoT等の最先端技術に着目し、前連結会計年度より積極的に経営資源を投入。

 ここからは、各事業の取り組みと業績について言及していく。

■コミュニティ事業

 第1四半期は、オンライン恋愛・婚活サービス『with』を中心に、ユーザー同士によるコミュニティ形成にフォーカスした運用型サービスに注力。『with』は、先行投資として積極的なプロモーションを展開してきたこともあり、国内ソーシャルネットワーキングのカテゴリにおいて売上ランキングは上位収斂し、ユーザー数の増加も継続している。

 『with』は『ペアーズ』(提供:エウレカ)、『Omiai』(提供:ネットマーケティング)に次いで業界3位の実績を持つ。オンライン恋愛・婚活サービスでは後発の『with』は、何故ここまで成長できたのか。山本氏は次のように分析する。

「まず上位サービスの中でも安価なことが挙げられる。また、女性ユーザーに重きを置いたブランディングにも配慮。たとえば、SNS広告のクリエイティブは、カップリング後、そして結婚後の幸せを描いたイメージ等を採用しており、サービスへの期待感・安心感を与える要因にも繋がっている。こうした施策により、女性ユーザーの獲得率が上昇している」

(出典)2018年9月期 第1四半期 決算説明会資料 p13

 また、他社類似サービスとの差別化を図るべく、心理学を活用して最適な男女のマッチングを目指し、「自己紹介文の自動生成機能」や「クリスマス相性診断イベント」等の機能追加やイベントも実施。氏曰く「質の悪いマッチングは少なく、1回でもメッセージのやり取りがあるケースが多い」と、マッチング後の交流についてもKPIを据えているとのこと。

 オンライン恋愛・婚活サービス市場の現況については、「若年層を中心に普及しており、ツールを活用した恋愛・結婚が“当たり前”になってきている」とコメント。また、同社は機能・施策の改善スピードにも長けているという。「成長市場の中、各社横並びが続いているからこそ、迅速な提案・改善が求められる。その結果、各社サービスのクオリティが向上し、ひいては市場全体の底上げにも寄与」と、好循環が生まれていることにも言及した。

(出典)2018年9月期 第1四半期 決算説明会資料 p12

 当該サービスについては、引き続きユーザービリティの向上及び積極的なプロモーションを展開することでユーザー数の増加を図っていくという。

 この結果、当第1四半期連結累計期間におけるコミュニティ事業の売上高は、前年同期比146.9%増の3億3567万円となった。

■ネイティブゲーム事業

 第1四半期は、主力タイトル『ぼくとドラゴン』が引き続き安定的に推移。具体的な取り組みとして、「まおう様ラッキーボックス」等の機能追加や「350万ダウンロードキャンペーン」、「THE KING OF FIGHTERS’98 コラボキャンペーン」といった、各種キャンペーンを実施した。

 しかし、2018年2月で3周年を迎えた『ぼくとドラゴン』は、長期運営化に伴い、新規ユーザーの獲得が鈍化。今後は広告宣伝費のコントロールはもちろん、機能追加・改善・キャンペーンを実施し、ユーザー満足度の向上と業績の安定化に努めていくという。

 また、新規プロダクトとして、『メガスマッシュ(コードネームGK)』の開発にも取り組み、2017年12月に事前登録を開始。2018年2月に実施したクローズドβテストでは、「ポジティブな意見が寄せられている」と期待感を示した。

(出典)2018年9月期 第1四半期 決算説明会資料 p11

 この結果、第1四半期連結累計期間におけるネイティブゲーム事業の売上高は7億9975万円(前年同期比31.6%減)となった。

■メディア(その他)事業

 メディア(その他)事業は、ビジネスパーソン向けメディア『U-NOTE』やフードトラック・プラットフォーム『TLUNCH』並びにどのジャンルにも属さないプロダクトにより構成されている。

 第1四半期は、主にメディアにおいて、収益拡大・安定化に向けて転職メディア『U-NOTE CAREER』と『U-NOTE』ユーザーとの相互送客を図ってきたという。また、『TLUNCH』は首都圏を中心に運営スペースと登録フードトラック事業者数を拡大させており、日本最大級の規模に成長。

 VR分野では、2017年11月にVRタレントのマネジメントを専門とする株式会社岩本町芸能社との業務提携契約を締結しVRアイドル市場へ本格参入した。さらに、同分野においては、認知症予防・進行遅延効果及び痛み軽減効果へのVR技術応用に関する順天堂大学との共同研究など複数のプロジェクトを推進している。「既に臨床試験を開始し、一定の成果が見られている。専用キットの開発を検討し、大学病院を中心に展開していく」と山本氏。

 また、2018年2月27日、VR空間上でライブを開催できるVirtual Live Platform「INSPIX」の開発に昨年から着手していることを明かした。昨今、首都圏において劇場・イベント会場の改修工事等のために閉鎖が相次ぐ「2016 年問題」というものが取沙汰され、会場不足に拍車がかかっている状況があるという。

 こうした背景の中、「INSPIX」では会場不足に悩まされることなく、多くのVRタレント等が世界中のユーザー(ライブ参加者)に向けてリアルタイムでライブを開催できる仕組みを構想しており、ユーザーが現実のライブ会場に出向くことなく、自宅に居ながらにしてライブを体験できることを目指している。

(出典)プレスリリース資料より p4

(出典)プレスリリース資料より p8

 また、国内のみならず世界規模で多くのVRタレント・ユーザーに活用してもらえるVirtual Live Platformを実現するため、既に中国や北米への展開も決定。なお、同プロジェクトでは、国内・海外における人材採用等に係る人件費、海外拠点立ち上げ・専用スタジオ建設等のコンテンツ拡充の投資、ユーザー集客のための広告宣伝費等に総額約50億円を2021 年までに支出する予定だ。

 他方、AI・IoTを活用した新規分野では、機械学習を用いた自動外観検査装置等の開発・検証について、愛知県豊田市内の自動車部品メーカーと提携し推進。これまで同メーカーでは、検査工程を目視で行っていたため、スタッフの体調次第で精度が変わることがあったが、今回の検査装置導入で自動化、効率化を果たした。「AI・IoTの技術は、企業の業務改善に貢献できる。検査装置に関しては、自動車メーカーに限らず、食品等、他業種でも展開可能」と次なる展開も伺わせた。

(出典)2018年9月期 第1四半期 決算説明会資料 p14

 この結果、第1四半期連結累計期間におけるメディア(その他)事業の売上高は1億5428万円(前年同期比37.4%増)となった。

 

【見通し】

 2018年9月通期の連結業績予測は、売上高70億円(前年同期比25.5%増)を見込んでいる。利益に関しては、コストの合理的見積もりが困難とし非開示。

 今後の事業展開では、既存事業からの収益を新規事業へ投資する、エコシステムを構築していくとのこと。現在の収益基盤は、売上高の62.0%を占めるネイティブゲーム事業だが、主力『ぼくとドラゴン』依存からの脱却を進める中、既に他事業では確かな成長率を記録。

(出典)2018年9月期 第1四半期 決算説明会資料 p19

 なお、同社が掲げる2020年9月期の連結業績予測では、売上高150億円、営業利益60億円としている。

(出典)2018年9月期 第1四半期 決算説明会資料 p20

「『ぼくとドラゴン』の業績は鈍化しているが、キャッシュエンジンとして機能。決して延命処置をしているわけではなく、会社の未来を担う重要なサービスとして位置付けている。今期の利益予測は非開示だが、これから各事業の地盤を固めて、2020年9月期はしっかりコミットしていく」 飛躍に向けた足固めを図るイグニス。Active Mediaでは今後もその成長過程を追っていきたい。


【関連リンク】

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でフォローしよう!

Share on Facebook4Tweet about this on TwitterShare on Google+0
IR インタビュー 決算情報
Tagged with: ,